2020.06.26. 友人が素敵なことをしていた

去年からその友人とは同じクラスで出席番号が前後なのだが、友人はめっちゃいい人である。どこがどういい人なのかは正直うまくわからないがめちゃくちゃいい人である。いい人だと思う。

友人とわたしは連絡先を知らないし学校以外で会ったことはない。部活が同じなわけではないし、側から見たら普通の男子なのだがめちゃくちゃにいい人だ。わたしの話を聞いてくれるし聞き流してくれるしわたしが馬鹿みたいに気に病んでいることを鼻で笑ってくれるしちょうどいい距離感を保っている。

そいつはときどきわたしに素敵なことをしてくれる。ふざけて嫌がらせのように毎日おはようの挨拶をしていたら友人から挨拶をしてくれるようになったりわたしはしていなかったじゃあねの挨拶もしてくれるようになった。人間としてできているんだと思う。わたしが不安に苛まれて自分でも引くぐらい落ち込んでいるときに八つ当たりで軽く友人を叩いていて(全然強くないおふざけのノリのあれ)手で応戦するようになってきたと思ったら手をぎゅーっと握ってくれる。あの行為は本当にわたしにとっての精神安定剤である。手を握らなくてもハイタッチをしてくれる。人の肌に触れると安心すると聞いたことがあるけど本当に安心するのだ。ちなみに友人の手のひらは女のわたしの手のひらよりやわらかい。

でも今回の素敵なことはなんだか本当に素敵だと思った。別に他の素敵なことが素敵ではなかったわけではないが、なんだか小説みたいだと思った。

わたしは委員会に所属していていまは委員長を務めている。委員会が好きだったからだ。友人は他の委員会に所属しているのだが委員長になったそうだ。友人もその委員会が好きだと言っていたし委員会に所属することは当然だろうくらいの感じ方をしていたが委員長になるのは意外だった。友人は目立ちたがりではないし人前に出ることを敬遠するようなタイプだったからだ。ふざけてわたしは友人に委員長をやれよと唆していたが本当になるとは思っていなかった。けれど友人は「やる人がいなかったから」と言っていて彼らしいなと思ったのだが、その委員会の担当の先生に聞けばわたしが委員長をやるからという理由で就任したらしい。わたしはそれを聞いて泣いた。何が嬉しかったとかそういうのがあまりなくて、ただ彼が「わたしが委員長をしているから自分もなった」という決断の仕方をしているのがすごく素敵だと思ったのだ。

友人にこの件を言うつもりはない。友人はありがとうを言うだけで照れるような人だからきっとこんなこと言われたら彼の顔から火が出るし、それを見たわたしの顔からも火が出る。でも1番の理由はわたしが言うということがわたしの美学にも彼の美学にそぐわないと思うからだ。彼はわたしのいないところでそれを言っていたしわたしは彼のいないところでそれを聞いたのだから、それを聞いたと言い素敵だなと思ったよなんて言うのはダサいと思う。

違うことでもわたしの知らないところで友人がわたしをきっかけにしてくれていたらわたしはきっともっと嬉しい。だってわたしは彼の知らないところで彼をきっかけにしていることがあるから。