2020.05.25. わからない

母がわたしに、「友人ふたりのお母さんからLINEがきた。わたしが早めに終わらせていた課題を今頃やり始めているという内容だった」ということを話した。わたしはそのとき正直ふーん、としか思っていなかったし、わたしは違う課題がまだ残っていたから、なんなら課題が残っている人がいることに安心した。

母はそれを話しながら笑っていた。笑うというより嗤うように感じた。

話はそれだけで、そのあとに「あんたもちゃんとやりなさいね」と言われるかと思っていたらそんな言葉もなく、思い切って「それでどうしたの?」と聞いてみてもそれだけだった。ただ笑っていた。

母には少しそういうところがあるように感じる。うまく言葉にすることはできないけれど、そういうところがある。きっと母には「熱い」「冷たい」、「甘い」「苦い」、「良い」「悪い」のように、両極端のふたつしかないんだと思う。だからきっと、わたしがその課題を「終えていた」ことと友人が「終えていない」ことを比べて笑ったんだろう。わたしは笑っていた意味がわからなかったし、好きな友人たちがわたしの済ませていた課題が終わっていなかったということだけで笑われたことが気に食わなかったし、友人たちを笑うのであればわたしのことも笑うべきだと思った。

それはわたし以外の他の人に対してもそうだ。職場の「好き」な人と「苦手」な人をきっぱり分けて、「好き」な人とはよく話したりご飯に行ったりするらしいけれど「苦手」な人のことはとてつもなく避けるし陰口をよく言う。まぁ別にこれは誰でもするし、わたしだって苦手な人とはあまり一緒にはいたくない。けれど「好き」な人がミスをしたときにきっと母はどうにかして「苦手」な人に元はと言えばとその理由をこじつけていた。

だから、少し怖い。わたしがなにか母の「苦手」なことをしてしまったら、わたしが母の「苦手」のカテゴリーに分類されてしまうのではないかと少し怖い。今回笑いながら話していたことの意味がわからないと聞いたら「苦手」に分類されるだろうか。

あのとき友人たちに同情して、「わたしも終わってない課題あるから」と言い切ればよかったのだろうか。それとも今のように何も言わずに聞いていればよかったのだろうか。わたしには正解がわからない。母にとっての正解も笑った理由も母のカテゴリーの分類のしかたもわからない。